前置詞周期表の話

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前置詞にも周期表がある!

前置詞は英語(だけでなく全言語)の元素ならぬ言素だと言えます。だから、化学の世界の周期表が言語の世界にも当てはまると思われます。化学の世界では、物質の基礎を成す元素が周期的な特徴を持ち、1つの表上に並べられるのに対し、言語の世界では、文の基礎を成す前置詞が周期的な特徴を持ち、1つの表上に並べることができるのです。英語の前置詞の場合の周期表を紹介します。これは、半分遊び発想ですが、半分真剣な試みです。英語前置詞の奥深さを味わってください。

前置詞周期表

 

  1. 前置詞番号(prepositional number)1番がofで、38番がover。ofは前置詞の王様(全前置詞の代表格で使用頻度も最も高い)なので、前置詞番号1番であるのは納得できる。overが最後なのは、overは「終わり」を意味する副詞があるから。→ The storm will soon be over.(嵐はすぐにやむだろう)
  2. 縦に9つの「族」(family)があり、同じ族に属する4つ、または、5つ(I族およびIX族の場合)には、共通のコンセプトがある。I族は始め、IX族は終わりを暗示する。以下、やや詳し目に解説する。[以下の(  )内は族の番号、番号の直後は共通コンセプト]

(I)原始⇒はじめを暗示する前置詞:ofは前置詞番号1番で「原始」atは0次元(=点)を表し、beforeは「…の前」を表し、ともに「始め」の概念と関わっている。宇宙の原初は混沌としたaboutな状態である。最後に、物事は下位から上位へ発展するので、underは始めの状態を暗示する。

(II)接触⇒onとontoは、それぞれ接触の状態と接触の動作を表す。aroundには、a

story built around a new plot(新しい筋を元にして作られた話)のようにbased onの意味を持つ。below(下に)はon(上に)に意味的に対応するのでonの仲間。

(III)内外⇒inとwithinは「内」を表す代表格で、across(超えて)は外へ出るイメージ、withoutは既に外に出ているイメージがある。

(IV)時点⇒byとuntilは、それぞれ時点を表す表現を伴う。alongには米口語で「時間的に近づいて」の意味があり、along about midnightやalong toward midnightと言えば「真夜中頃」の意味となる。between A and BのAとBに時点を入れれば、「A時からB時まで」という時間を表す。例えば、I will be here between 10 and 12.で「10時から12時までここにいます」の意味となる。

(V)共有⇒withがまさに共有を意味する中心的前置詞で、throughは共有のための手段、nearはもう少しで共有すること、amongは既に共有した結果を暗示する。「もう少し」を意味するnearの用法は、She is near tears.(彼女は今にも泣きそうだった)やThe house is near completion.(家はほとんど完成だ)に見られる。

(VI)起点⇒fromが起点を表す代表的前置詞で、sinceは完了形とともに用いる起点の前置詞。besideはby side(脇にいる)から発展した前置詞で、これから何かが始まるという暗示があり、besidesは、この前置詞から発達した前置詞。

(VII)賛否⇒forは「賛成」を表すのに対し、againstは「反対」を表す。例えば、I am all for her proposal.は「私は全く彼女の提案に賛成だ」を意味する。duringはdure(続く)の現在分詞が前置詞化したもので、「続けること」は賛同を暗示する。beneathには「人にふさわしくない、品位に関わる」の意味があり、賛同しないことを暗示する。例えば、Such conduct is beneath you.は「そのような行為はあなたの恥だ」を意味する。

(VIII)接近⇒toとtowardは接近を表す代表格で、toは到達も暗示する。behindは「背後に」という意味があり、何かが迫っているニュアンスも持つ。aboveは何かに接近して、それを通り超えたイメージを持つ。例えばHis behavior is above praise.で「彼の振る舞いは褒めきれないほど立派だ」の意味になる。

(IX)分離⇒offは当然ながら分離を表す代表的前置詞。intoは結果を表し、これまでプロセスとの分離を暗示し、afterは始めのころの状態との分離を暗示し、beyondは時間・空間・限界からの分離を暗示する。overは分離させたものに覆いかぶさる(そしてすべてを終わらせる)イメージを持つ。

  1. 横に5つの「周期」(period)があり、それぞれの周期に特徴があり、しかも、意味が左から右へ展開・発展している。第1周期では、実際に歴史的にofからoffが分化した。第2周期は基本10前置詞のうちofを除いたものが集合している。at(O次元)→on(1次元・2次元)→in(2次元・3次元)と次元的発展があり、from(起点)→for(目標)→to(接近)→into(結果)と、物体の移動や物事の論理的展開の順序になっている。第3周期は主に時間的展開を示す前置詞群であるのに対し、第5周期は主に空間的展開を示す前置詞群である。第4周期は、最初の4前置詞がaで始まり、後の4前置詞がbで始まる。そして真中はほぼアルファベットの真ん中のnで始まる前置詞である。
  2. ofとoffについて:対照的な意味関係があるので、I族とIX族にそれぞれ配置される。下記8の(a)参照。
  3. 第2周期と第3周期の前置詞の組み合わせに関係性がある。用法の違いに注意すべき前置詞群である。特に、inとwithin、byとuntil、fromとsince、forとduring、toとtowardの違いに注意すべきである。
  4. I族とIX族の間、II族とVIII族の間、III族とVII族の間、IV族とVI族の間に関連性がある。I族のbeforeとunderに対し、IX族のafterとoverがそれぞれ対応する。II族のコンセプト「接触」とVIII族のコンセプト「接近」は「接」という共通項がある。III族のコンセプトとVII族のコンセプトは、それぞれ「内外」と「賛否」で、対照的な漢字を組み合わせている点で共通している。IV族とVI族のコンセプトは「点」が共通項である。
  5. 同じ周期で隣同士に関連性があるものが存在する点にも注意。第1周期のofとoff、第2周期のat, on, in、第4周期のaboutとaround、第5周期のunderとbelow、betweenとamong、aboveとoverなど。
  6. 前置詞は36個が重要であるが、この周期表では、offとontoが加わって38個となっている。offとontoの存在意義を示しておく。

(a)   offは14-5世紀にofから分化し、17世紀以降現在の形になった。現在ではofが「離れていないこと」(=所属・部分)を主に担当するのに対し、offは「離れていること」(=分離・離脱)を表す。

(b)   ontoはonで曖昧になる状況を解決する。例えば、He jumped on the stage.は「ステージに跳び上がった」と「ステージでジャンプした」の2つに曖昧であるが、He jumped onto the stage.は前者の意味だけを表し、曖昧性が消える。

 

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