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前置詞曼荼羅

コラム

前置詞曼荼羅
この曼荼羅上への前置詞の配置は,縦と横に並ぶ前置詞3つが,意味的なまとまりを保ちます。言い方を変えれば、9つの前置詞は、うまく3つずつまとまって曼荼羅のような形に収まっているのです。
それぞれ3つの前置詞の意味の共通点について,縦の前置詞群を(b)[1]図で,横の前置詞群を(b)[2]図で表しています。3前置詞のまとまりのそれぞれを簡単に解説します。なお、Pは同じグループ内の3つの前置詞を表しています。
① 空間関係前置詞  at / on / in
<X+P+Y>の形で、XがYという空間に存在することを表す。それぞれの空間ついては、atが点(0次元)、onが線と面(1~2次元)、inが面と体(2~3次元)の空間である。
② 人間関係前置詞  by / of / to
byは主格(動作の主体)を表し、ofは対格(動作の対象)を表し、toは与格(授与の対象)を表す。例えば、次の文を名詞化すると、全ての前置詞が現れる。
John gave Mary a book.
→ the gift of a book to Mary by John
対格  与格  主格
③ 因果関係前置詞  for / with / from
forは原因と目的の両方を表すことができる。
・I can’t sleep for the cold.(寒くて眠れない) [原因]
・He went for a swim.(彼は泳ぎに出かけた) [目的]
withは原因の意味を表すことができる。
・She trembled with fear.(彼女は恐怖で震えた) [原因]
fromも原因の意味を表すことができる。
・Her cheeks were red from the cold.
(彼女の頬は寒さで赤くなっていた)[原因]
④ 時間関係前置詞  at / by / for
atは「ある時点で」、byは「ある時点までに」、forは「ある時点から別の時点まで(=期間)の間」という意味を表す。これは時間関係の代表的な意味。
⑤ 関連関係前置詞  on / of / with
全て「…について」の意味であるが、onは専門性、ofは「ちょっと」、withは関心を暗示する。
・a book on sociology(社会学書)
cf. a book about sociology(社会学に関する本)[専門書でなくても可]
・think of… (…をふと考える)
・talk of… (…の噂をする)、
・hear of… (…を耳にする)
・He is in love with her.(彼女に恋している)
[←彼女について恋の状態]
⑥ 位置関係前置詞  in / to / from
fromは起点、toは着点、inは内在(=何かの中にいること)を表す。基本的には、from, to, inの順番で物事が進む。<from X to Y and in Z>で、Xの地点からYの地点まで動き、Z内に落ち着くことを暗示する。
・She went from Osaka to Tokyo and stayed in Shinjuku
for 3 nights.
(彼女は大阪から東京にへ行き、新宿で3泊した)

前置詞コラム

コラム

「机の前に座る」と “sit behind a desk”

今日は、「机の前に座る」がsit behind a desk(机の後ろに座る)になる理由について、考えてみたいと思います。これは、人が使うものについて、日本人と欧米人の認識が異なることからくると、私は考えています。

例えば、前後がはっきりしないものについては、日本人にとっては、自分の手前にくる箇所が「前」なのです。確かに「手前」という表現を用いることから、そのことは如実に理解できますね。

一方、欧米人は、自分の前に箇所(またはスペース)は、そのものの後ろに当たると考えるのでしょう。ハンドルすら、それを握る状態は、「ハンドルの後ろにいる」(get behind the wheel)と英語では発想します。

日本語で言う机の前(のスペース)の反対側は、机の後ろではないかもしれませんが、前というよりも「奥の方」という感じでしょうか。これが英語の世界では、「前」に相当するわけです。

つまり、机を車の操縦席のようなものと考えるとわかりやすいかもしれません。欧米人は、机と自分を同じ方向をむいて移動するイメージを持っているのではないかと思います。日本人は、机は、あくまでも自分に向き合っているというイメージがありますね。

欧米人は、同じ方向をむいて移動することを重視し、日本人は、移動をあまりせず、定住することに価値を置きます。その発想の違いが、このような表現の差に表れるのではないかと推察できます。

ある空間が与えられると、日本人は角のほうに集まる傾向がありますが、欧米人は堂々と真ん中を陣取ります。私は日本人学生を教えていますが、授業中、彼らは、教室の端っこや後ろの方に遠慮して座ってしまう傾向があります。

これは、遠慮がちであるかどうかという性格の要因以外に、「端」という空間の言語的な認識と関係があるのかもしれません。日本語の「始め」という言葉は「端占め」から来ているようです。端が「始め」ということなのですね。

欧米人の発想は、自らが中心にいて、どんどん端の方に移動して、開拓していく(特にアメリカ人はこの発想をもっていると思います)迫力があります。だからend(端)という言葉は、時間的なend(終わり)[←日本語と逆!]、と同時に、end(目標)でもあるわけです。

日本人は、端からじわじわ動く、できればあまり動きたくない、という感じですが、アメリカ人は、真ん中から端に向かって、自分たちの陣地を広げていくということに喜びを感じるのではないでしょうか。

ヨーロッパ全体ではないにしても、一部の人たち(国)がそのような発想を持っているので、世界のどの地域よりも早く植民地政策が進められたのも納得できます。このように決めつけることは良くないかもしれませんが、全く関係がないとは言えないでしょう。

「前」とbehindの対比だけで、歴史の話にまで展開しそうですが、いずれにしても、言葉というのは、少なくとも、発想の違いを超えて、文化の違いを明確に示すことが、よく分かると思います。そして、前置詞1つでも文化の違いを論じることができるのです!

英語前置詞研究家 石井隆之

 

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